訪問看護は、病院で働くのとは違った大変なことがいっぱいあります。在宅での看護ではどのようなことをするのか、イメージしやすいように説明します。訪問看護と聞くと寝たきりの高齢者や在宅での看取りなんかを想像するでしょうが、そればかりではないんです。精神疾患を抱えた若い人や障害をもった赤ちゃんなど難病の利用者さんもいっぱいいます。主治医の指示で利用者さんの療養生活をサポートするのが訪問看護師のお仕事なんです。
だいたい週に1~3回訪問することが多いのですが、バイタルの状態など小さな変化を見落とさないことが大切です。病院では、患者さんの症状の観察は医療従事者が行いますが、在宅では訪問看護師と一緒に本人や家族も観察を行います。医療従事者のみが症状を観察するわけではないので、訪問看護師は一般の方でもわかるように説明する必要がありますよ。何か問題があれば主治医に報告、緊急搬送の手配などを行います。
排泄ケアや清潔ケアも訪問看護師の仕事です。状況に応じて用具を揃えるなど利用者さんの環境により安全な生活環境の整備と介助方法を検討しなければいけません。病院と違って専用のものがないので訪問先にあるもので代用しなければならないのも大きな違いですね。医師の指示があれば点滴や創傷処置、カテーテル管理なども行います。必要なものは病院などから持っていきます。カテーテルの管理は慎重に行わなければいけません。もしトラブルが発生したら緊急搬送など医療機関との連携も必要になってきます。
寝たきりの利用者さんも多いので、床ずれの予防は重要なことです。エアーマットを介護保険でレンタルする等、本人や家族と協力しながら予防に努めましょう。もし、床ずれが発生したらすぐに主治医に相談し適切な処置をします。訪問介護やデイサービスを利用されている場合は、それらの事業所とも連携して処置を続けます。人工呼吸器や酸素投与をしている場合は、それらの機械のチェックも忘れないようにしましょうね。
在宅ではご家族の介護がメインになります。最近では老老介護も少なくないので、介護をする人の様子も見ながら介護指導をしなければなりません。また、訪問看護師がリハビリのお手伝いをすることもあります。退院されて自宅に戻ってから問題が発生することもありますので適宜アセスメントを繰り返しながらリハビリをします。
最近では精神疾患の利用者さんの自宅療養も増えています。退院しても生活に支障があることも多く、やはり訪問看護を必要とされる人が多いです。服薬管理や体調管理、社会生活の助言などを行いながら、悪化が見られる場合は医療機関と連携して早期受診をすすめます。
ご家族へのケアも大切な仕事ですよ。もし介護をしている方も体調を崩されたら利用者さんの介護ができなくなってしまいますよね。ご家族の健康が利用者さんの生活の要なんです。ケアマネジャーとも相談しながらレスパイト支援も検討します。在宅看取りの場合は、主治医とよく相談しながら緩和ケアに努めます。穏やかに最期を迎えられるよう患者さんだけでなくご家族も支えます。
看護師の資格があれは、訪問看護師として働くことができます。ただ病院勤務と訪問看護では業務内容や働く環境が大きく異なるため、自分にできるのか不安な人もいると思います。そんな人は、まず訪問看護でどんなスキルや知識が求められるのかを把握しておきましょう。それを把握した上で自分に向いていると思ったのなら、訪問看護師を目指してみてはいかがでしょうか?
転職先を探す際、勤務地や給料、福利厚生などの基本的な勤務条件は皆さんチェックすると思います。ただ、訪問看護へ転職する際はそれだけでは不十分なんです。例えばオンコールの体制や事業所の規模、運営母体の組織の違い、利用者さんの傾向などによって、労働環境が違ってきますので、はじめて訪問看護で働く人は要注意です。ここでは、訪問看護ステーションの求人を探すときに必ずチェックしてほしいポイントを紹介しますね。
病気や障害を抱える方たちの自宅での暮らしを、主治医の指示のもと医療面で支えるのが訪問看護師の仕事なんです。寝たきりの高齢者や終末期の看取りケアだけではありません。精神疾患や障害を抱えた方、赤ちゃんや若者など、年齢も病状も様々な方が対象です。医療処置、予防ケアや介護指導まで、幅広く関わりながら、コミュニケーションをとり、訪問看護を利用する方たちとそのご家族の生活をより良いものにすることが、訪問看護師の役目です。